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奨学金に導入されたブラックリスト

旧日本育英会が行っていた奨学金事業は、その他の関連事業と併せて二〇〇四年に独立行政法入日本学生支援機構に移管されました。記憶にある方も多いと思いますが、ここでは不払いが問題になっています。まず日本学生支援機構の業務規模について調べてみましょう。二〇一二年三月末の奨学金の貸付残高は七兆二七六〇億円あります。このうち、一種といわれている奨学金は二兆四三〇四億円で、二種は四兆八四五六億円です。一種というのは、金利が免除になる奨学金のことで、二種は三%と低利ですが金利があります。どのくらいの学生が奨学金を受けているかというと四七〇万人で、第一種は一六九万九〇〇〇人、第二種は二七三万人です。これが大学生のどのくらいの割合にあたるかというと、ほぼ三人に一人になります。

不況の影響で奨学金を利用する学生が増えているといいます。それで問題になつている不払い・延滞額ですが、延滞の定義は三ヵ月以上の不払いということになっているようで、金額にして二六四七億円あります。金額での延滞率で見ると、五・五%になります。ここ一〇年では三倍近くになっています。大学を出ても就職せずにフリーターになったり、就職してもすぐ辞めてしまったりする若者が問題になっていますが、異常な増え方です。これが銀行やノンバンクの貸付だった場合は、経営不振で破綻の危機に陥っています。そこで、同機構は増え続ける延滞に対応することにしました。一つは民間の債権回収専門会社に業務委託することです。

債権回収専門会社はサーピサーといわれている会社で、弁護士法の特例として制定された「債権管理回収業に関する特別措置法」に基づいて、法務大臣が許可した業者だけが営める会社です。奨学金の督促は、基本的には電話でするようです。その督促業務は同機構の職員はもちろんですが、「業務を委託した債権回収会社から行うこともあります」と同機構のホームページにはあります。その督促の時間帯は、午前九時~午後九時までです。これは貸金業法の督促行為の規制に準じた内容です。

さらにホームページには「本人の勤務先に電話する場合もあります」とあります。貸金業法と割賦販売法の督促行為の規制では、勤務先に電話することを禁止してはいませんが、特別な事情があるときに限定されていますから、かなり踏み込んだ印象を受けます。なにより一般の人にそれほど認知されているとは思えないサーピサ一会社が、本人の勤務先に電話するというのですから、あまり気持ちがいいものではないでしょう。それが嫌なら借りてくれなくてもいい、という意思表示のようにも思えますし、親切心からの対応という気もします。

同機構では、延滞情報を全銀協の情報センターに登録する他に、個人信用情報機関に登録されている最新情報を入手して住所確認に使うとあります。これはおそらく、住所を変更しないで延滞に陥っている人が多いことの証しだと思います。そして機構以外からの借り入れ情報を入手して、多重債務に陥っている場合は法的措置をとる場合がある、個人信用情報機関に延滞というブラック情報が登録されると、クレジットカードが使えなくなったり、住宅ローンが組めなくなる場合がある、とホームページで告知というより警告しています。