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奨学金ブラックリストの問題点

まず、個人信用情報の使い方が間違っています。登録を受け入れている全銀協のセンターも同じです。個人信用情報にブラックリストはないと説明されていますが、それは個人信用情報機関が客観的な事実に基づく取引情報を登録しているからであって、情報に色はないからだと説明しています。しかし奨学金で登録されるのは、延滞情報というブラック情報だけです。ところが、正常取引を含めてすべて登録すると驚くべきことが起きます。ここに在学中に毎月五万円の奨学金を受けていた大学生がいたとします。彼が卒業までに借り入れる総額は、二四〇万円になります。これを卒業して半年後から毎月返済します。

月々にすると一万六〇〇〇円ぐらいで、返済期間一五年です。つまり、卒業と同時に二四〇万円の負債を抱えることになるのです。それはどういうことかというと、就職した会社の給料がいくらかにもよりますが、負債の額が年収の三分の一以内ということはないと思います。奨学金を借りた学生のほとんどは、貸金業法の総量規制をオーバーする負債を背負って社会に出ることになるのです。割賦販売法の支払い可能見込額の場合は、支払額の年間合計額は一人万円ですから、それほど影響はありません。奨学金は、名前は奨学金ですが学資ローンの一種であることは間違いありません。

しかも、貸金業法にはまったく該当しない貸付です。銀行が行う消費者金融に近いものはありますが、それとも違うようです。順調に返済が進んでいればいいのですが、人生がそれほどうまくいかないことは若い時ほど多いものです。何かの都合で返済が滞る事態に陥りそうになつて、銀行のカードローンをまず借りて、その返済がうまくいかなくなって貸金業者やクレジットカードのキャッシングで穴埋めするようになると、確実に多重債務状態に陥ります。奨学金の利用者が増えているということは、進学率の上昇と家庭の学費負担の重圧感そのものだと思いますが、それはそのまま信用収縮の一局面だと思います。