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住居費まで個人信用情報の対象に

家賃債務は、貸金契約やクレジット契約とは異なり、住居の賃貸借契約に基づき住居を使用する対価として発生するものです。しかも金利は発生しません。月払いによって債務の弁済が行われることはいずれの債務も同様ですが、家賃債務の性質は他の債務と異なり、貸金債務やクレジット債務に優先して支払われるものです。家賃は衣食住という人の生活の根幹に関わるところにあるので、まさにライフラインとして支払いの順位は最優先になっています。このようなことがあるので、いろいろ問題はあるにしても改正割賦販売法の支払い可能見込額の生活維持費に住居関係の費用が入って、支払い可能見込額から排除されているはずです。

現に、『平成20年版割賦販売法の解説』(経済産業省商務情報政策局取引信用課編)には「クレジット債務の返済のために生活維持費まで奪われることになるということは、多重債務者対策の本旨にもとることにもなりかねないことから、包括支払可能見込額を算定するに当たっては生活維持費を除くこととしている」と書いてあります。ところが個人信用情報を使って、家賃債務を保証するビジネスが一部のクレジット会社で行われるようになっています。割賦販売法の改正はクレジット会社にも与信先の縮小を余儀なくしましたから、新しいビジネスとしてクレジットの与信に近いところにある家賃保証に進出したものと思われます。

家賃保証は、人間関係が希薄になった現代社会を投影したビジネスともいえます。つまり、保証人を頼む人間関係の煩わしさから解放されて、好きな所に賃貸住宅を借りたいというニーズに応えたものです。あまり知られてはいませんが、全国規模で営む専業会社もあります。クレジット会社の家賃保証は、賃貸住宅とクレジットカードの申し込みを同時に賃借申込人にさせます。クレジットカードの与信は個人信用情報機関を使いますから、そこに多重債務や不払いの情報があればクレジットカードは発行しません。このクレジットカードは、家賃の支払いにも使うためです。発行されない場合は、すなわち家賃の保証契約も成立しません。

賃借申込人は、従来のようにどこからか保証人を探してこなければ賃貸住宅を借りられないことになります。つまりクレジットの情報が、本人の予期せぬ賃貸住宅の情報に利用されたわけです。いくつか問題点があります。個人信用情報は、貸金業法(第41条の38)にも割賦販売法(第35条の3の59)にも目的外利用等の禁止規定があります。目的外利用等の禁止というのは登録された個人信用情報を、それを利用するクレジット会社が、クレジットの審査業務以外には利用しないということです。つまり貸金業法や割賦販売法の指定個人信用情報機関に登録されている情報は、クレジットの与信以外に使うことはできないのです。