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個人への与信に色をつけるべきか

国によっては、個人信用情報の利用範囲がクレジットの与信だけに限らず、就職や家の賃貸契約等の生活一般の広範にわたっている場合があります。つまり個人信用情報がどういう使われ方をするかは、社会の合意が必要になるということです。貸金という限定された局面で見ても、銀行とノンバンクの規制は違ったものになっていますし、そこで利用される個人借用情報の使われ方も違います。さらに、すでに書いたように携帯電話のクレジット払いや、奨学金という名前は金融ではないような消費者ローンに対しても、限定的ではありますが、個人借用情報が一部利用されるようになりました。仮に奨学金が貸金だとしても、銀行や信販会社が扱っている学資ローンは物販クレジットの扱いです。どうにもすっきりしません。

個人信用情報は社会の合意がない中で、必ずしも整合性がとれているとは言い難い使われ方がされており、その上、個人信用情報の立ち位置がすっきりとしないものですから、消費者に合理的に説明することは不可能です。それは業界や規制について理解を求めれば何とかなるというものではありません。警察に捕まって裁判で有罪になると前科一犯という賞罰がつくことは、国民のおそらくすべてが知っています。これは社会の常識であり合意です。個人信用情報の認識はそこまでありませんから、いろいろ危倶される場面が出てくるというわけです。では、どうすべきでしょうか。

個人信用情報機関は、個人信用情報の登録にあたって登録される個人から同意をとっています。同意の内容は、加盟会社にクレジットの与信の際に利用されるというものです。個人信用情報機関の広報もこの範囲です。ところが何度か書いていますが、クレジットの与信での利用と別の何かをからめて個人信用情報が利用されるケースがあります。家賃保証が本来の目的であるにもかかわらずクレジットカードの与信に利用され、社員証がクレジットカードとセットになつているために、クレジットの不払い記録が賃貸契約や雇用契約に影響する、といったケースです。一方、奨学金のように不払いした結果、予想もしなかったクレジットカードの申し込みに影響したり、それ以外のローンにも影響することがあります。

奨学金は不払いをすると以後の与信に影響が出る可能性があるということで、奨学金の利用そのものには問題はありません。こういった不都合や誤解を発生させないためには、きちんと正確な情報を提供することです。現状でどのように個人信用情報を利用しているかを明確に伝えているのは、奨学金の日本学生支援機構だけです。ここは使ってもらうことが重要な目的になっていないので、読みようによっては申し込みを減らすための脅しのようなことが書かれています。クレジットにはメリットもデメリットもあります。メリットはいくらでも挙げることができますが、デメリットの最大のものが使い過ぎであることは、どんな時代でも変わりません。日本学生支援機構のような広報まで必要とは思いませんが、何らかの工夫は業界の姿勢として必要です。